お話を覚えたばかりの頃のあるは、
一生懸命に小さな声で、お話をしてくれていましたが、
少しずつ、声が大きくなっていきました。
お喋りをすることに、慣れてきたのかも知れません。
いつの頃からか、決まって、夕方になると、
あるのお喋りタイムが始まるようになりました。
もの凄く大きな声で、時々、キャー!という叫び声にも似た声を発しながら、
気持ち良さそうにお喋りをしてくれます。
夕方になると、泣き出す赤ちゃんも多いと聞いたことがありましたが、
あるの場合は、泣かない代わりに、何故か夕方になると、
とても大きな声で・・・本当に大きな声で、お話をしてくれるのです。
夕方頃には、テレビでニュースを観ながら、
世の中の出来事を把握するのが、あの頃の私の過ごし方でしたが、
丁度、あるの大きな声でのお喋りが始まった頃から、
私は、世間では何が起きているのかなど、全く把握出来なくなることとなりました。
人伝に、最近話題になっている大きなニュースを聞いては、
え?うそ?そんなことがあったの?
と、驚くこともしばしばでした。
時を経て、最近、偶然に当時の事件を知る機会がありました。
あの頃の私が知らなかったニュースを時を知ることになった私の中に蘇ったのは、
小さかったあるの温もりと、テレビの音など簡単に掻き消してしまうような、
笑ってしまうほどに大きな声のあるのお喋りです。
今思えば、
テレビは観なくていいんだよ
俺だけを見ろ!的な主張であったのかも知れないと、懐かしく振り返りました。