今でこそ、インターネットの世界は、とても身近なものになりましたが、
あの頃の私は、インターネットとは縁遠く、
周りの人から話を聞いたり、本から必要な情報を得ていました。
妊娠期は勿論のこと、
あるが生まれてからは、
同じ頃に生まれた子たちは、とんなことが出来るのだろう、とか、
どんな遊びをしているのだろう、とか。
育児に関する雑誌を読んでは、
間もなくあるもこんな感じのことをするのかなと、思い描いてみたりもしました。
ですが、あるは、私が思い描いていた感じとは、なんだか違いました。
特に眠る時間が、です。
周りの人達から話を聞く度に、そして、本を読む度に、思っていました。
え?なんで他の子は皆、一晩眠るの?と。
あるが初めて4時間連続で眠ってくれたのは、床上げの頃のことでしたが、
あれから、ずっと、4時間以上は眠ってくれませんでした。
いつまで経っても、最長4時間程で目を覚まして泣くのです。
どうしてあるは眠らないの?
え?もしかして、ナポレオンか何かなの?
ナポレオンの赤ちゃん時代についての知識はありませんが、
ナポレオンのお母さんも、赤ちゃんナポレオンを育てるのは、
大変だったのかも知れないななどと、こんなことを考えたりもしていました。
今よりもずっと得られる情報が少なかったあの頃の私は、
疑問を持ったり、時に悩んだりしながらも、やがて辿り着きました。
今は眠る時間が短くても、
これから先、言葉を話すのが遅かったとしても、
歩き出すのが遅かったとしても、
二十歳になれば皆、同じだろうなと。
違うのは、好みや性格であって、その頃にも、
今と全く同じ悩みを抱えていることなど、きっとないのだろうと思いました。
そうして、私は、育児に関する本を読むことを辞めました。
あるはあるです。
ゆっくりでも、早くても、あるのペースで成長してくれればそれで良い。
こんな考えに至りました。
でもまさか、一晩眠ってくれる日が、
ここから随分先だなんて、
あの頃の私は、考えもしませんでしたけれど・・・。