例えば、あるにおもちゃを渡してあげる時には、
こんなふうに声を掛けていました。
『どうぞ』という言葉は、相手が持っているものを自分に渡してくれる時。
あるはきっと、こんなふうに覚えたのでしょう。
やがて、あるは私たちが持っているものを貸して欲しい時には、
こんなふうに手を出すようになりました。
これは、
『どうぞ』ってして下さい。
という意思表示。
言葉の勉強中だったあるは、知っている言葉を使って、
少しずつ自分の意思を伝えてくれるようになりました。
それは時に、謎解きのような時間でもありましたが、
そんな時間も、私たちにとっての楽しかった時間のひとつでした。