あるを病院へ連れて行った日のことでした。
あの日は確か、熱が出ることはなかったけれど、
咳が出るというような比較的、軽い風邪のような症状であったような気がします。
咳をしながらも元気なあるは、診察室へ呼ばれると、
なんと患者用の椅子に座ってクルクルと回り始めたのです。
こんなことは初めてでした。
ある。やめて
私の声には耳を貸さずに、椅子に座ったまま、
クルクルと回り続けるあるを見つめた先生は言いました。
第一次反抗期の頃だねと。
この後、すぐにあるを止めて、診察をして貰いましたが、
先生の言葉から初めて、
あるが第一次反抗期を迎えていたことに気が付きました。
思えば、少しずつ自己主張が増えてきました。
これがイヤイヤ期と呼ばれる時期なのねと、なんだか感激しながらも、
人から言われるまで気が付かなかったのは、
それだけあるが育てやすいタイプの子だったからなのかも知れません。
時々には困ってしまうこともありましたが、
もう少し手に負えないものを想像していた私たちにとっては、
自己主張をするあるの姿も、これも成長の証拠なのだと、
なんだかとても可愛らしく思えてしまったのでした。