夏の終わりに、あるが近所の公園で見つけたのは、
セミの羽でした。
ママ!見て?セミの羽だよ
あるは、手のひらに乗せて私のところに持って来ました。
え?ママは、ちょっと嫌だな
叫び出しそうな気持ちを堪えて、
虫は苦手だから、羽も触れないことを伝えると、あるは言いました。
でも優しいよ
あの時のあるの言葉は、
今でも忘れられない優しい言葉。
セミの羽は、なにもしないよ
優しいんだよ
こんなふうに教えてくれました。
言葉は、とても不思議です。
あるのこの、
優しいよという言葉に、
もしかしたら、私も触れるのではないかと、そんな気がしました。
・・・気がしただけですが。