ある。
キミは凄いね。
キミは、気付いていたかな。
小さなキミはね、ママの夢を叶えてくれたんだよ。
これまで、誰にも話したことはなかったけれど、
実は・・・実はね。
小さかった頃のママは、魔法使いになりたかったんだ。
素敵な魔法を使って、誰かを幸せにすることが出来たら、
どんなに素敵だろうって。
公園で見つけた木の枝を魔法のステッキにして振ってみたり、
それから、
実はこっそりと、箒に乗って、飛ぶ練習もしていた頃があったんだ。
大きくなったら、魔法使いになりたい。
こんなふうに夢を見ながら。
でも、いつからだろう。
成長と共に、人間は空を飛べないことを知り、
どんなに頑張っても、魔法を使える日はやって来ないことを知って。
そうして、いつの間にか、
魔法使いになりたかった自分のことも、
すっかりと忘れてしまっていたんだ。
ある。
小さなキミは、
魔法使いにはなれないままに、大人になった私を、
魔法使いにしてくれたね。
キミが生まれて来てくれたから、
ママは、絶対に叶わないと思っていた夢を叶えることが出来たよ。
ママを魔法使いにしてくれて、ありがとう。
小さな頃は魔法使いになりたかっただなんて、
私が誰にも話したことがなかったように、パパも同じだったのかも知れない。
もしかしたらパパも、
小さかった頃は、忍者になりたかったのかも知れないよ。
キミと一緒に、忍者の修行をしていた時のパパは、
本当に楽しそうだったもの。
忍者になることを夢見たキミに、
手裏剣の使い方を教えてくれたのは、パパだったね。
パパも、キミと同じように、小さかった頃は、
修行を積んでいたのかも知れないよ。
だって、あの手裏剣の捌き方は、どう見ても、慣れていたもの。
パパを師匠として慕ったキミ。
小さなキミにとってのパパは、本物の忍者だったね。
キミは、私たちがついてしまった嘘を、本物に変えてくれたんだよ。
ある。
キミは、やっぱり凄いね。
天才だ。
またひとつ、キミの持つ素敵な才能を見つけたよ。