あれは、雪が降った数日後のことでした。
仕事から帰ると、庭に僅かに残った雪で、
あるがキノコを作って待っていてくれたことがありました。
私は、キノコのモチーフが大好きで、
キノコの置物を幾つか部屋に飾っています。
私がキノコが好きだからと、
あるは、キノコの形を作ってくれたようです。
このあるの作品は、『ユキノコ』と名付けられました。
もし出来れば、私のコレクションに新しく加えたいくらいに、
とても可愛く仕上がっていました。
あの日のあるは、
消えてしまうからこそ、
より美しく感じることのできる作品を、
プレゼントしてくれたのだと思います。
もう此処に、あのユキノコはありませんが、
消えてしまうからこそ、覚えていようと、
目に焼き付けたあの頃の時間も大切な宝物です。