あの朝

幼稚園行かない!

 

あの日の朝のあるは、突然に、

絶対に幼稚園へは行かないと主張し、

バス停までの道のりにある電柱や看板にしがみついて、

決して歩こうとはしませんでした。

 

意地悪をする子がいるから、もう幼稚園へは行きたくない。

 

泣きながらこんな主張を続けるあるの姿に胸が痛みながらも、

心を鬼にして、バス停まであるを引きずりながら連れて行きました。

強くなりなさいと。

 

私たちは、いつまでも、あるを守ってあげられるわけではありません。

ひとりで歩む強さを身に付けていかなければならないのです。

 

漸く、バス停へと辿り着き、お迎えのバスが来ると、

引率の先生が、嫌がるあるをバスに乗せてくれました。

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先生に抱かれて、涙を流しながらバスに乗って行ったあの日のあるは、

一度も私を見てはくれませんでした。

 

そんなあるが乗ったバスを、涙を堪えて見送ったあの日の朝は、

あるが生まれてから初めて経験したとても辛かった朝でした。

 

思い返してみれば、あれは、

親としての初めての試練であったのかも知れません。

 

バス停からの帰り道、堪えることが出来ずに、

ひとりで泣きながら帰宅したことは、

誰にも話すことなく、ずっと胸の中にしまっていた苦しかった時間。

 

あの日のことを振り返り、また別な判断もあったのではないかと、

この頃とは違う別な視点を見つけることが出来たのは、

ここからずっとずっと先のことでした。

 

 

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我が子が傷付く姿

我が子が傷付く姿を見るのがこんなに辛いだなんて、

知りませんでした。

 

ゴールデンウィークを過ぎたあたりの園内では、

意地悪をしてしまう子と、意地悪をされてしまう子に別れるのだと、

こんな話を聞いたのは、

あるの様子が、少しおかしくなってからのことでした。

 

幼稚園にね、意地悪する子がいるの

あるにバカって言うんだよ

ある、幼稚園楽しくない

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ゴールデンウィークを過ぎた頃から、こんな言葉に口にするようになったある。

 

お弁当を一口しか食べずに残してきた日には、

胸が張り裂けそうになりました。

 

我が家では、あるが私たちの使う言葉をなんでも真似するようになった頃から、

言葉遣いには非常に気を付けて、子育てをしてきました。

 

言葉には、良い言葉と良くない言葉があって、

目には見えなくても、心が傷付いて、怪我をしてしまう言葉もあるんだよ。

こんなふうに教えてきましたが、

この環境の中で育ったあるは、そのような言葉に免疫がなく、

余計に傷付いてしまったのかも知れません。

 

私たちは、間違えた子育てをしてきてしまったのでしょうか。

 

みーくんと一緒に悩みながら、家族3人で、

「やめて」

の練習を始めました。

 

嫌なことをされたらね、やめてって言うんだよ。

こう何度も教えながら、

幼稚園から帰って来たあるを抱き締めて、

出来るだけゆっくりとした時間を過ごすことを心掛けるようにしました。

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勿論、あの頃の園内での時間にも、

お友達との楽しかった時間もたくさんあったようです。

 

その日の楽しかった出来事も、たくさん聞かせてくれていましたが、

やがて、あの朝がやってきたのでした。

 

 

お米の神様

ママ、あのね、

お米にはね、神様が入っているんだって。

だから、ご飯は残しちゃダメなんだよ。

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ある日の食事の時間に、あるがこんなことを教えてくれました。

きっと幼稚園でのお弁当の時間に、お友達が教えてくれたのでしょう。

 

あるが幼稚園へ通うようになり、

話す言葉の幅が広がり、話の引き出しも、とても増えてきました。

 

そんなあるの話を聞く時間は、本当に楽しい時間でした。