ある。
キミは、覚えているかな。
小学校へ上がったばかりだったキミは、
ひとりで道路を歩くことが怖くて、
2人で決めた場所までを毎朝一緒に歩いたね。
いってらっしゃい
いってきます
いつもの場所で挨拶をして、
ひとりで歩き出したキミは、
少し歩いたところで立ち止まって、不安そうに後ろを振り返ったね。
あの時のキミは、私の姿に安心したように、
また前を向いて、学校へと向かって行ったんだ。
キミの小さな後ろ姿を見守ったこと、
今でもよく覚えているよ。
ある。
いつからだったかな。
ひとりで道路を歩くことを怖がらなくなって、
いつの間にか、玄関でのいってらっしゃいの挨拶へと変わっていったね。
小さな背中に大きなランドセルを背負っていたはずのキミは、
いつの間にか、サイズが丁度よくなって、
いってきますと元気に挨拶をしたキミは、
いつの間にか、後ろを振り返ることなく、
前だけを見て、元気に登校するようになったね。
そんなキミの後ろ姿を見つめながら、
キミの大きな成長を感じた日があったよ。
キミはいつの間にか、こんなに大きくなっていたんだなって。
そのまま自信を持って、
真っ直ぐに前を向いて歩めるキミでありますように。
あの時の私は、
いつの間にか、大きくなったキミの背中を見つめながら、
そんなふうに、願ったんだ。